切神の憑奈(きりかみのつきな)

¥ 3,500

※こちらの価格には消費税が含まれています。

※送料は別途発生いたします。詳細はこちら

送料について

この商品の配送方法は下記のとおりです。
  • レターパック

    日本郵便が提供する宅配サービスです。荷物追跡に対応しています。

    全国一律 600円

※10,000円以上のご注文で送料が無料になります。

通報する

【 切神 】

名刀や名槍といった、名前が知られている武器は切れ味や耐久度がすぐれているだけでなく、

その使い手の歴史やどれだけの血を吸ってきたのかが畏敬と畏怖の念を抱かせ、

名立たる武士や戦士であれば、いずれは手にしたいものだと思いを馳せる者が多い。

刀では正宗や村正、菊一文字則宗(のりむね)、槍では御手杵(おてぎね)や日本号、蜻蛉切(とんぼきり)

といった誰もが聞いたことのある有名な得物は、焼失して失われたモノもあるが大切に保管されて今に至っている。

現代の人々が、実際には今も使用され、未だに数多の血を吸い続けていることを知らないまま……。

博物館などで目にするそれらはレプリカであり、腕利きの鑑定者を騙すほどの精巧さで出来ている。

なぜなら、当時の名匠が当時の素材で作ったものであり、本物となんら変わらない物であるからだ。

つまり、二本ずつ作られていたのである。

武器で人を傷つければ、必ず血が付着する。

たとえ血を拭いたとしても、自分を殺した相手に対する憎みや怨念は使い手や武器に染み込んでいく。

二本作ることで、その負のエネルギーが勘違いをするかの如くもう一つの方へと乗り移る。

すると、使い手が呪われることなく戦いに集中出来るだろうという、縁起担ぎの為だった。

だが、実際にはその効果はほとんどなかったようだ。

戦いの最中で発狂し敵味方関係なく殺戮を始める者、練習中に突然自害をし始める者など、

由緒ある武器を使っている者のほとんどが、謎の死をとげる事件が多発した。

そこで、そういった呪いの対処を一任された、ある陰陽道に精通した集団がいた。

彼らは「切神九字護身法(きりかみくじごしんぼう)」という独自の技を使い、呪いの影響を抑えることが出来た。

通常の九字切りとは逆の順番を辿り、魔の力を引き出すことで呪いの力を逆に利用するというものだった。

だが、そんな所業は一般の人間には扱うことなど出来る訳がなく、たとえ熟練した戦士でも不可能だった。

あらゆるいわく付きの武器がその集団に集められる中、彼らの中である考えが浮かんだという。


「我々が、これらを使いこなせれば良いのではないか?」


武芸に全く縁もゆかりもなかった彼らが、長きに渡って武器の扱いを研究し始めてから数百年。

どんなに巨大な武器ですら軽くさせ、刃が潰れてしまったモノでも岩を裂くような切れ味を実現する。

また、呪いの力をさらに強化させる為に、人体の一部を使うことも容赦なく取り入れた。

だがそれらの代償なのか、数十年前から彼らの家系には感情を表現出来ない者、声を失ったまま産まれてくる者が跡を絶たなかった。


「ここ最近、呪いの力が急激に増している。我々の力でも抑えきれなくなっているほどに…」

「今までこんなことは無かったし、先祖の文献を漁ってもそんなことは一度も起きていない」

「何かが起ころうとしている。……それとも、既に始まっているのか?」

「やはり調査が必要であるな」


長老達はそう言いながら、静かに話を聴いていた一人の女性に、目を向けるのだった。