雪花の写那(せっかのしゃな)

¥ 3,500

※こちらの価格には消費税が含まれています。

※送料は別途発生いたします。詳細はこちら

送料について

この商品の配送方法は下記のとおりです。
  • レターパック

    日本郵便が提供する宅配サービスです。荷物追跡に対応しています。

    全国一律 600円

※10,000円以上のご注文で送料が無料になります。

通報する


【 雪花 】

―― 霧(ウララ)が日の神(ペケレチュプ)を覆い隠し、月の神(クンネチュプ)が沈む時、冥界(アフンルパル)が開く ――

本土に偵察に来ていたシャナは、アイヌモシリに古くからある予言が頭をよぎる。

とある原生林の中、彼女の目の前に倒れている死体は、人型ではあるものの、その様相は人にあらざる異型の姿をし、

体を縦に切られて血溜まりの上に横たわっていた。

「血は赤い……人ではあるということか……?」

しばらく見ないうちに倭人(本土の人間)はこのような姿に変わってしまったのか?とも

考えたが、それならばとうの昔に偵察から報せが来ていてもおかしくない。

その死体の切り口は見事なまでに一刀のもとに切り伏せており、二つに切られた大鉈も足元に転がっていた。

「鉈ごとそのまま斬られたか。少なくとも、相手の攻撃に対して反応する知性はある、ということだな」

目の前の異様な状況を分析していると、シャナはふと後ろの気配に気が付いた。

だが、動じる様子を見せることなく、そこへ話しかけた。

「たいした腕前だ。こちらの言葉で、カイ(強者)と呼ぶにふさわしい」

敵意は無いが、自分の訛りのせいであろう、こちらを用心しているのがわかった。

「私にも敵意はない、アイヌモシリの者だ」

そう言いながらゆっくりと後ろを振り向くと、そこには着物姿の若い女性が立っていた。

「アイヌモシリ……?」

怪訝そうな顔をする彼女の片腕は、見たことも無い機械で作られていた。

その腕と横たわった異型の残骸を見比べるシャナを見て、彼女は不服そうに声を上げた。

「そっちは元人間」

「元?」

シャナが情報の整理に戸惑っているのを伏目に、彼女はシャナの風貌に警戒を強めた。

「アイヌだか何だか知らないけど、私達の邪魔をすんなら斬る。敵じゃないなら、どっか行って」

そう言うと、林の奥へと姿を消した。

本来なら相手に気づかれぬよう気配を消して行動するシャナであったが、今回だけはそれをしなかった。

この遺体もさることながら、この遺体を倒した者の正体も確かめる必要があると判断したからだ。

まだ乾いていない血溜まりを見て、まだ近くにいるだろうと踏んでいたのだ。

「私達……か。他にも仲間がいるということか」

まだまだ帰れそうに無いな、とぼやきながらも、心高鳴るものがあった。

周りの空気に溶け込むように気配を消すと、シャナは彼女の後を追った。

予言には続きがあった。

―― 冥界(アフンルパル)が開くも、数多の光(ポロキヤイ)集まり、一柱の神(カムイ)現る ――